ノーデンスは白髪に灰色の髭をたくわえた、威厳ある老人の姿をとる古い神です。
その声は深淵から轟き渡るような響きを持ち、その怒りは恐ろしい雷光となって敵対者を滅ぼし去ります。
右腕は銀でつくられた精巧な義手であり、ケルト神話に登場するダーナ神族の王、銀の手の「ヌァザ」と同一視されることもあります。
ノーデンスはかつて地球上に在り、「旧神」と呼ばれる謎めいた神性の最高神であると言われ、「旧支配者」や「外なる神」と敵対関係にあります。
なお、ノーデンスの現在の動向については、ドリームランドに生息しているという説が濃厚です。
「夢見る人」だけが訪問できるこの異世界で、ノーデンスはナイトゴーントを従え、旧支配者たちを捕えた牢獄を監視しているといいます。
もし彼がうっかり眠ってしまおうものなら、旧支配者たちが復活して、地球は大変なことになるでしょうね。
神様なんだからうっかり眠ったりしねーだろ…。
そんな訳ですから、当然、ニャルラトテップとノーデンスは対立関係にあり、時に人間を介した代理戦争に発展することも少なくありません。
実際、ランドルフ・カーターがドリームランドのカダスへと到着した際、ニャルラトテップは一計を案じてカーターをアザトースが待ち受ける宇宙の中心に追いやろうとしましたが、ノーデンスは駆り立てる恐怖の配下達を灰色の塵になるまで焼きつくし、カーターを救いました。
それを見たニャルラトテップは呆然とし、地球の温厚な神々を前にして傲慢にののしりなじりました。
これを持ってノーデンスは人類の救世主であり、善の象徴だと唱える者も人間の中にはいるようです。
ただ、決して安心していけません。
ノーデンスが時に人間に示す好意は、実際にはただの気まぐれかも知れないのですから。
敵の敵は味方とは限らないってことだな。
